おはよう。こんにちは。こんばんは。
ここは ことばのよりどころ です。
 
ぼくたちは いつも ステキなウタを 考えていたよね。
 
ステキなウタを 考えていたら 脳ミソが気球のように みるみるとふくらんじゃって
どうしようもなく 旅に出たくなっちゃって ぼくも その気球に乗りこんでみることにしたんだ。
まっしろな雲のような ことばを たくさんたくさんかいて ふわふわと 空を泳ぎながら
ぼくはある日 みんなと みんなのステキなウタに 出会ったんだ。
 
とつぜん雨がふって 気球がしぼんで みんなにも みんなのステキなウタにも 会えなくなっちゃって
空が 青かったこと 赤かったこと 黄色かったこと 黒かったこと ピンクだったこと いまは忘れちゃいそうで。
雲が泣いて 地上にたくさんたくさん 散りばめられた 雨のしずくのような ことばを あふれるくらい両手にあつめて
ぼくは 透明なかさの下で まだ ステキなウタを 考えているよ。
 
“はろー。おげんきですか。”
ひさしぶりに 手紙をかいてみました。 これは きみに宛てた手紙です。
住所も知らなければ 宛名もないし 切手だってはってないから ちゃんと届くか 不安なんだけれども。
 
たとえばきみが ぼくとおなじように まだ気球がとんでいた 空の色を 思い出そうとするなら
たとえばきみが ぼくとおなじように あふれて止まらない ことばの行き場を やっぱり探しているのなら
ここが きっと その場所になります。
 
 
 
ことばのよりどころ